無感動シンデレラ さあ、かぼちゃの馬車がむかえに来る 何もない闇夜に、屋根裏部屋にひとり あかぎれた手のひら あかむけた足 楽しい歌などもう歌えない そんな私の代わりに、 小鳥と小ネズミたちのカルテット 明るい音楽、金のシャンデリア あたたかな時間を包み込んでくれた家 奪われてしまった今、 愛されて育った私が、耐えられるはずなどないのです。 ブリキの冷たいバケツ 髪も顔も灰だらけ それでもすべてを洗い流す勇気のない私はただ、 無感動に涙を流すだけ。 「下手な歌はやめてちょうだい」 そんな言葉にうがたれて、もう今は歌えない。 小鳥のなぐさめと、ネズミの励まし。 それだけが私をつなぎとめる糸。 ガラスのように頼りなくもろく色のない私に、 舞踏会で踊る勇気などありません。 おむかえの馬車に見つからないように、 屋根裏部屋でただひとり。 私は息をひそめるのです。 |
| 「シンデレラ」 |
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