心に蓋をしました もやもやとした霧を食べる獏は しくしく静かに泣いていました。 それを見つけた女の子は、やさしくたずねました。 どうしたの？ ――おなかが痛いの。 なにか変なものを食べたの？ ――君の悲しい心のもやもやをすこしでもへらしたくて、 ――いっしょうけんめいに食べたの。 ――そうしたらおなかが悲しくて、痛くなったの。 女の子は、何も言えませんでした。 しくしくと泣く獏のそばで女の子は もやもやした心に蓋をしました。 蓋をしたまま胸の奥ふかくに埋めて、 じょうろで水をかけました。 いつか獏にご馳走できるくらいおいしい花が咲くように、 もやもやがおいしくなりますように。 すくすく芽はのびて、まあるいつぼみをつけました。 それはよいかおりのする、淡いピンク色のつぼみでした。 |
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